【第四三二振武隊】舟橋卓次

舟橋卓次

昭和十八年十月一日陸軍大刀洗飛行学校に特操(特別操縦見習士官)第一期生として入校、十九年十月任陸軍少尉、二十年三月満州二十六飛教(飛行教育隊)より第二破邪隊編成、二十年五月二十八日万世より第四三二振武隊隊長として部下十二名を引連れ出撃、全機突入す。同日任陸軍大尉(二階級特進)。


 わが稚児桜引き連れて ─── 父への最後の手紙

 永らく御無沙汰致しました。

 其(そ)の後父上には御元気に御活躍ですか、小生今般大令を拝し近く征途につきます。私の可愛い教え子を連れて征きます。皆張切ってゐます。

 もう当地にはせみが鳴いてゐます。さすがに内地 (*1)はいい所です。

 現在の私の心境不思議な程落着いたものです。私はいい死所を得て心から喜んでゐます。


   国のため 我が稚児桜(ちござくら)引連れて
     いまぞいでたつ 嵐の中

                          草々

           鹿児島県河辺郡萬世町西部第九一五〇部隊 舟橋卓次


  (注)西部第九一五〇部隊は飛行第六十六戦隊のこと。


【出典】1976(昭和51)年 現代評論社 苗村七郎 「万世特攻隊員の遺書」

  • 最終更新:2016-05-28 12:16:30

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