【第六十一振武隊】岡本 勇
岡本 勇
陸航士卒(五十七期)、昭和二十年四月二十八日、第六十一振武隊長として出撃散華
遺 言
御父上様、御母上様、勇ハ栄アル、「と号」第六十一飛行隊長トシテ、南海ニ散リマス。思ヘバ二十有余年温キ御慈悲ノ下、コンナニ大キク育テテ下サイマシタ其ノ間、何一ツ出来ズ、今トナツテ不幸ノ御詫(オワビ)ヲ申シアゲマス。勇南海ニ散ルモ魂魄ハ永劫ニ、皇国ノ空ヲ飛ビ、皇国ノ無窮ナランコトヲ祈ツテヰマス。勇死ストモ決シテ御嘆キ下サイマスナ、喜ンデ喜ンデ下サイ。
今ヤ、皇国ハ危急ノ場ニ直面シテヰマス。勇一回ノ死ヲ以テハ、何事ナス所モアリマセンデセウガ、必ズ七生報国ノ大楠公 (*1)精神ヲ以テ貫キマス。家ノ事ニツイテハ、何等(ナンラ)申スコトモアリマセンガ、只(タダ)私ノ下に散ツテクレマシタ部下ノ家ノ方々ヘヨロシク御伝ヘ下サイ。デハ御壮健デ長寿を保タレンコトヲ、御祈リシマス。走リ書ニテ失礼シマシタガ、御許シ下サイ。
御機嫌ヨウ。サヨウナラ サヨウナラ 勇拝
四月二日
御父上様
御母上様
親思う心に勝る親心
今日のおとづれ何ときくらむ
【出典】1977(昭和52)年 原書房 寺井俊一編 「航空基地都城疾風特攻振武隊」
- 最終更新:2016-03-14 07:28:59