【第五八振武隊】藤山恒彰

藤山恒彰

東京陸軍航空学校卒、熊谷陸軍飛行学校卒(少飛十四期)、昭和二十年五月二十五日、第五八振武隊として出撃散華


御両親様 恒彰は君国の為特攻として散って征きます。もとより覚悟したる所 君国の為身命を惜しまぬは日本男子の本懐とする処、私の心にも大なる喜びたる者 (*1)があります。十八年間慈愛を以て育て下さいました大恩は散った後も忘れません。唯(ただ)今迄一つとして孝養出来なかった事が残念です。然(しか)し一旦任を命ぜられた以上は心中に何もありません。敢然と新鋭機を以て敵と刺違へる丈(だけ)です。

御両親様 私が散ったとお聞き (*2)なられても 決してお嘆き下さいますな。我が子ながら天晴れ良く散ったそれ丈の言葉をかけて下さい。私が散った後も後に続く若桜が居ると思えば安心して死んで行けます。弟も御国の為、立たせて下さい。君国の必勝を念じつつ征きます。

最後に御両親様始め御一同様の御健康をお祈りします。

  御両親様



【出典】1977(昭和52)年 原書房 寺井俊一 「航空基地 都城疾風特攻振武隊」

  • 最終更新:2016-05-25 14:30:03

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