【第五八振武隊】今村岩美

今村岩美

昭和十八年東京陸軍航空学校卒、熊谷陸軍飛行学校卒(少飛十四期)、昭和二十年五月二十五日、第五八振武隊として出撃散華


 (少飛同期生、若杉正喜伍長宛)

若杉よ 君は我々と共に大空の御楯(みたて)として東校に入り 憧れの操縦として熊校に そして花たる戦闘操縦者として加古川に はた又新鋭戦士たらんとして相模に一向 君に奉ぜんの誠以て来りしなり 特攻の命下るや君は我と共に先陣を受給はり明野に来る 其(そ)の喜び共に語るにしかず 共に死なうと云(い)ひかはしもつかの間 又又君と別る 同じ道行く我等の気持察してくれ

感慨無量だ 而(しか)し此(こ)れも運命の致す処 大君に尽すに変りはない 俺は喜んで君を送る 征け 若杉 俺も必ず征く 目ざすは唯一突入轟沈あるのみ 頑張ってくれ 時には俺の事も思ってくれ「オダ」ノ王者 「バカモノ」だったと笑ってくれ 而し 体当りは必ず出来る 心配する勿(なか)れ 東校以来の飛行兵精神は心の底に脈々として流れているのだ

最後に散る日迄の御健康を呉(く)れぐれも祈る 感唯々(ただただ)無量

                           同期攻撃隊員 今村岩美



【出典】1977(昭和52)年 原書房 寺井俊一 「航空基地 都城疾風特攻振武隊」

  • 最終更新:2016-05-25 14:40:43

このWIKIを編集するにはパスワード入力が必要です

認証パスワード